公益社団法人 日本紅卍字会会報(56号) 2024年 6月


            書画壇書跡 題:「天命」 孔聖降筆
      孚聖が宣院に授けられた一筆です。「人心を正す」の箴言です。


【会報56号 目次】
1. 名句あっぷ              ……坂田和子
2. 烈士烈女伝              ……一色源太郎
3.事務局からのお知らせ
4. 展望台―4―              ……黒川謙介
5. 功行費(2024年3月〜2024年5月)
6. 積善箱(2024年4月〜2024年6月)
   

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名句あっぷ(古今の名句、名言を紹介します)

 
元ハンセン病患者 籟予防法国家賠償訴訟原告団 
     事務局長 竪山勲氏のお言葉


 私たちが学校で学ぶ教科書に、第二次世界大戦中に行われたナチスドイツによるユダヤ人迫害の歴史が載っています。屋根裏部屋で息をひそめ、恐怖に怯えながら生活をしたユダヤ人少女アンネフランクの話を知った時、何故このような酷いことを人間はできるのだろうかと子供心を痛めたものでした。人間が人間を迫害し殺戮してきた歴史がそこにはありました。戦時中のドイツ国内で起こった悲劇について学ぶ機会を得て、何故、迫害や差別がいけないのかという、人が人として生きるのに大切な心を育ませていただいたようにも感じています。
 その一方で、この日本国内において、1996年まで続けられてきた、元ハンセン病患者隔離被害の実態は、教科書に載っておらず、元患者達が高い壁に蔽われ、その中で人権を蹂躙され筆舌に尽くしがたい苦難の日々を生き抜いてきた歴史を知り得る機会は、とても少ないように感じています。
 元ハンセン病患者であり、籟予防法国家賠償訴訟原告団として国と闘った最初の13人のお一人である竪山勲氏と出逢うまで、私自身、元ハンセン病患者の隔離病棟の中でおかれた人権蹂躙の歴史を知ることはありませんでした。そして、その患者家族の差別の歴史についても然りです。
 竪山勲氏は現在75歳。1962年13歳の時に鹿児島県の鹿屋市のハンセン病療養施設である星塚敬愛園に隔離され、ハンセン病は、ほどなく完治したにもかかわらず、それから40年以上の歳月を、家族にも会えないまま高い塀に蔽われた隔離施設の中で、人権を蹂躙された生活を余儀なくされました。
 元ハンセン病患者である竪山勲氏と出逢ったのは、今から15年ほど前に遡ります。 当時、私は交通事故に遭い、脳脊髄液減少症を患い、苦しみのあまり、ほぼ寝たきりの生活を余儀なくされていました。交通事故で発症することが多いこの病は、保険会社の補償という利権が絡み、事故の衝撃で髄液漏れは生じない、事故で脳脊髄液減少症という病が発症することは考えにくいといった、事故との因果関係を否定した論文が、医学界で採用されておりました。
 そんな状況でしたので、患者の声に耳を傾け、患者に向き合い治療に当たってくださっていた医師は、全国にわずか数十名ほどしかおらず、運よくその心ある医師に辿り着いたとしても、治療は自費診療になり、高額な治療費を患者は負担しなければならない状況がありました。患者は耐え難い体の苦しみである肉体被害だけでなく、高額な医療費という経済被害、詐病であるといった心無い言葉による精神被害の三重苦を背負わされており、これらの苦しみに耐えかね命を絶つ者もいました。
 交通事故から7か月後に、幸運にも良き医師に巡りあい、関東にて脳脊髄液減少症の治療に辿り着くことが出来たのですが、自分の治療に至るまでの状況から、患者の置かれた悲惨な状況を何とかしなければと、ある患者会の行っていた保険適用を国に求める署名活動に参加することしました。その活動の代表に就いてくださっていたのが竪山勲氏でした。
 星塚敬愛園退所後の竪山勲氏は、ハンセン病元患者の置かれ続けた悲惨な状況を風化させてはいけないと、ご自身の経験を語り部として、全国を行脚してお話しされていました。元ハンセン病患者の歩んだ歴史を伝えるという使命を持ち、その真摯な行動により培った国との大きなパイプをもって、自分のこととして脳脊髄液減少症患者の悲しみに寄り添ってくださり、その行動をきっかけとして2016年には脳脊髄液減少症は保険適用となり、脳脊髄液減少症患者救済に大きな一石を投じてくれました。
 治療後、一進一退を繰り返していた当時の私は、よく竪山勲氏から電話をいただき、励ましていただいておりました。そんな中で、ご自身の経験されたハンセン病療養施設内で実際に行われてきた人権蹂躙の話を聴かせていただきました。
 強制隔離の塀の中で行われ続けた、患者を人間扱いしない差別の実態、婚姻は認められていたが12畳に4組8人の患者夫婦が生活させられていたこと、断種堕胎の実態、妊娠できたとしても出産して子育てすることは認められず、妊娠がわかると7.8か月であっても、生まれた嬰児はその場で殺害されてきたことなど耳を疑うような内容でありました。
 症状の軽い患者が重症患者を看護し、命が尽きた患者を患者自らが火葬場へ運び葬ってきたことや、脱走防止のために独房があり、真冬の極寒の独房の中で命を落とした者もいたことなど、療養施設という優しい名前で呼ぶには程遠い、まるで強制収容所のような実態を語ってくれたのでした。人権など微塵もなかったと竪山勲氏は話します。
 そのような悲惨な状況に身を置いても、入居者達は、神を忘れず、クリスチャンになり日々神に祈りを捧げる者や、仏教に帰依する者も数多くいらっしゃったといいます。人はどんな状況に置かれても愛に生きることが出来る存在なのだと教えていただきました。
 籟予防法により、少年、青年、壮年時代を療養施設で隔離され、その中で生き延び、生き抜いた竪山勲氏は、誠を見極める眼力が人一倍あり、社会の理不尽なことにはどこまでも厳しく、一方で弱い者にはどこまでもお優しい方であります。一切の我欲がない竪山勲氏の生きざまから、私は実に多くのことを学ばせていただいており、今回名句アップのお言葉として竪山氏が若者に語り掛けるお言葉をひとつ紹介したいと思います。

  「賢明なまなこで何が真実であるかを自分の頭で考えて欲しい。」

 情報が溢れ、社会が乱れ、子供の心を育てなければならない教育現場に従事するような大人社会においてもいじめがあると聴きます。自分以外の悲しみや苦しみには無関心である風潮が社会全体に蔓延っており、人が集まれば大小の争いを生み、ネット社会では顔を隠したまま誹謗中傷が嵐の如く書き込まれています。世界に目を向ければ戦争により殺戮が繰り広げられ、社会が協力して守らなければならない弱い人たちが、まるで手の指の間から転げ落ちるかのように、社会の枠組みから零れ落ちているようにも感じています。 <br>
 素晴らしい医師との巡り会い、その後沢山の方に助けられ、奇跡的に病を克服できた私ですが、与えられた残りの人生において、真実を見極める目を養わねばと、そんなことを考えます。
 声なき声を聴き、賢明なまなこで何が真実か見極め、誠の真心を育み、争いのない調和のとれた優しい社会の実現に何ができるのか、竪山勲という一人の人間の生き様から学ぶことは多いと感じており、病を通じてではありましたが、自らを成長させてくれたこの出逢いに感謝し、竪山勲氏のお言葉を名句としてご紹介させていただきたいと思います。

  烈士烈女伝(前漢の劉向による『列女伝』に倣い、
  社会福祉に献身した人たちを紹介します)


◆山崎弁栄上人(浄土宗:1859年~1920年)
 浄土宗のイメージは阿弥陀仏に対する全託や称名念仏が中心であり、来世に向けた心構えを説き、現世においての開悟については真言宗や曹洞宗の如きではない、と考える人も多いかもしれません。しかし宗史を繙くと、意外にも悟り、サマーディ(三昧)、見性(見仏)のような体験を持つ僧が幾人も見られます。
 この山崎弁栄上人は、生来の高徳者にて出家に先立つ僅か12歳の頃、空中に阿弥陀三尊のお姿を拝していたといいます。 正式に仏門に入られてから自らに課した修行は尋常なものではありませんでしたが、その結果、素養に磨きがかけられ華厳を修すれば法界観三昧が目の前に現れ、念仏を行えば見仏三昧を得ていたと言います。伝えを読むと
・霊応が内に充ち、就寝中の寝息も御仏の称名になっていた
・尊大傲岸を鳴らす人が上人に相対した途端、教えに服する者に変容した
・仏教他宗派のみならず、キリスト教徒も多く上人の門下に入っていった
・集まった喜捨はすべて利他の為に用い、自身には紙の僅かな余白までも使い切る生活を送っていた。
 このような逸話が数えきれないほど出てきます。 阿弥陀仏の無量寿光に加え、無辺光、無対光、炎王光、清浄光、歓喜光、難思光、超日月光などを会得していた上人は、一宗一派には捉われない光明主義という独特な主張を唱え、やがて光明学園を創立して教育者として大きな足跡を残しました。紅卍字会にあります合五統六という考え方は、山崎弁栄上人の光明主義と親和するものと思われます。 宗教者として達成した境地に加え、自然科学分野、芸術分野など広範に足跡を残した上人に対して敬慕の気持ちが募ります。

◆防人の妻たち(奈良時代)
 我々が歴史の学習で習う防人は、東国から集められて3年交代で九州の辺境を守る兵の事でした。
 天平7年、現在の東京都内、当時は武蔵野国豊島郡に荒虫というひとがおり、防人として九州の筑紫に派遣されて行きました。妻である黒女という人は今の府中市にある丘と伝えられるところに立ち、夫の為に「赤駒を山野に放し捕りかにて多摩の横山徒歩ゆか遣らむ」 という歌を残しました。万葉集第20巻に収められています。この歌は夫の赴任の際、せめて良き赤駒(赤毛の良い馬)を持たせてあげたかったのに、急な招集の為に放し飼いにしてある馬を捉える時間がなかった悲しい心情を著したものと言われています。 烈女というものとは異なるかもしれませんが、遠い奈良時代に武蔵の国の若い妻女が、このような熱情の籠る歌を詠い、どのようにして伝わったのかは分かりませんが、名歌として万葉集に編纂されて、21世紀の都内で生活する我々がこの古い歌を様々な思いで詠むことに感慨を感じます。荒虫と黒女の夫婦は自分達が守ってきたこの国のいまの姿を見てどのような気持ちを抱いているでしょうか。

  事務局からのお知らせ

 5月11日(土)の11時から令和6年度の通常会員総会が開催されました。 黒川会長が議長を務め、令和5年度事業報告、会計報告が行われました。報告内容は当会の野村監事による審査を経ております。
 また令和6年度の予算案、事業計画案を総会に提示し、すべての議案が採決されております。前年度事業報告と今年度事業計画は年度をまたいで継続しているものが多くなりますが、日本紅卍字会としての主な事業は以下になります。
① 日本語教室運営及び生活相談・・・ 受講者が日本語検定2級を取得できるように講義を行っております。現在の生徒の国籍は中国、シリア、リトアニア、インド、米国、豪国等になります。
② 国内外自然災害被災者への義援金拠出・・・ 令和5年は能登半島地震災害やリビア洪水、その他への義援金を 合計1,300万円拠出しました。日本赤十字社より感謝状となる記念盾が送られ、東京総院玄関に飾られています。
  その他、新たな慈善事業案が定例理事会でも協議されておりますが、実行に先立ってはHPなどで会員の皆様に内容をお知らせしたいと思います。

 展望台-4

 「能登半島地震を考える」
 今年元旦に発生した能登半島地震は、復興力の地域間格差について、我々に考える機会を与えてくれています。能登半島は山地が多く平野が少ないので住宅地は点在しており、交通アクセスも悪いため、支援ボランティアの人数は、被災後数か月で激減しました。特に大きな被害を受けた輪島市、珠洲市では高齢化率がそれぞれ51.7%、46.3%で、石川県全体の平均30.0%を大きく上回っており、支援への必要性は特に大きいものがあります。元々地域的に耐震化率が低い上に、高齢者は再建のための借金が難しいこと。また、空き家率も高いため隣接家屋が自宅に倒れてきても、それが空き家の場合、所有者と連絡が取れず、手が打てない。元々老朽化していた水道管などのインフラ復興に多くの時間と手間が掛かる。あるいは、地震に伴い発生した火災発生率は、老朽化した住宅が多いので、東日本大震災の5倍あったなど、阻害要因が多重化しており、このような事情を背景に、復興への足取りが余りに遅いという評価がでています。そこで被災地域からは「我々は忘れ去られた」という声が各所から起こっています。東日本大震災の復興の折には、米軍空母まで救援物資を海路で運んだ「トモダチ作戦」のことを思い起こすと、周囲の対応格差は歴然としています。 <br>
 嘗て日本には「表日本」と「裏日本」という言葉がありました。しかし最近はこれが、差別につながる不適切な用語として一般には使用されなくなっています。しかし、今回の被災はまさにその「裏日本」という表現を想起させるに足る事態です。実際にこの被災地域では、病院の看護師や施設職員の離職も相次いでおり、人口の急激な減少も必須とみられる中、元の状態の市町村として復興することは非常に困難とみられています。5月1日付の報道によると、石川県6市町から別の自治体への転出が被災3か月で2,750人に上り、転出が転入を上回るいわゆる「社会減」は2,209人で昨年同時期の3.7倍になっているとのこと。各種産業もダメージが大きく、取り分け高齢化の進んでいる第一次産業の漁業や農業では、地域によって復興の可能性には大いに疑問符がついてい
 かかる状況では、従来と同じように住居を再建し、同じインフラを前提とした復興策を進めるのは避けるべきであるとの専門家の意見があります。人口が戻らなければ、投下資金と労力が無駄になる可能性があるからです。このような場合、住民と自治体との意思疎通が非常に重要で、且つ災害弱者である高齢者や障害者にも十分配慮した施策が必要です。
 一方、去る4月18日に四国西部に震度6の地震があった翌日、ある一般誌が飛鳥時代に起きた南海トラフ地震(白鳳大地震)について述べていました。『日本書紀』によると、684年に発生したその地震では道後温泉の湧きだしが止まり、土左国田菀(土佐高知の田畑)1200haが地盤沈下により海に沈んだ、とあるそうです。1200haの面積と聞いても想像しにくいのでイメージを得るために計算してみると、例えば奥行き100mなら幅120kmとなり、その広さに愕然とします。現在でも四国山地で隔てられた高知の場合は、普及物資の補給路はやはり海路がキーになるのかも知れません。南海トラフ地震は100~150年周期とされており、前回(昭和南海地震)から約80年が経過していますが、現代科学では地震予測は不可能です。
 震災が少ない地域としてアピールし企業を誘致してきた石川県(金沢大学福祉学教授談)に大地震が起きたように、これは決して他人ごとではなく、我々自身と行政が共に防災を考える良い機会と捉えるべきでしょう。つまり、地域間格差の存在もさることながら、過去に大震災で受けた各種の災害は、この列島上のどこででも、誰にでも、明日にも起こる問題なのです。そして、各個人として喫緊の課題は、自宅周辺の被災リスクや避難場所などの情報把握をし、避難用物資・食材の備蓄を整えることにあります。
 当会は公益社団法人として、今後も各種災害被災者への義援金付与を継続します。各被災自治体のおかれている個別の状況も確認しながら、対象を絞り込み、今後も効率的な支援ができるように取り組んで参ります。因みに4月の台湾東部地震被災者への義援金も、激甚災害に対して支給する金額を台湾政府の日本における出先機関である「台湾日本関係協会」に付与しました。本来は義援金付与がないことが望ましいのですが、そのような事態は、残念ながら今のところありません。
 各種災害に対して、自分だけは大丈夫という根拠のない「正常性バイアス」は、徒に怯えないために、ある意味で不可欠な心理的要素かも知れませんし、確かに皆そういう側面は持ち合わせています。しかし、面倒ではあるにせよ、「自分にも起きる」前提に立つことは、自らと社会に対する責任でもあります。

 功行費 令和6年(2024年)

3月分功行費(25日~31日)(敬称略)

○年会費(12,000円、家族6,000円) 
 中原克己、郭淑萍、松田英一、中村明子、尾﨑桂子と家族4名36000 円、伊藤キヌ、佐藤友子、石川タカ子、萩野ミヨ子、ワールドメイト4,179,000円(集団求修) 
〇寄付金(災害基金、建設基金を含む) 
 中原克己10,000円、柴冨明子2,000円

4月分功行費(敬称略)

○年会費(12,000円、家族6,000円) 
川原史也、佐藤真貴子、松田明、田畑治樹、林出佳子、川上松子、ワールドメイト4,229,000円(集団求修)
〇寄付金(災害基金、建設基金を含む)
 瀧澤愛倖2,000円、高橋克弥5,000円、WeiFanggui15,000円、川上松子10,000円
5月分功行費(敬称略)

○入会金(10,000円)
 秦英雄 ○年会費(12,000円、家族6,000円) 一色源太郎、野村和久、後藤茂、深見晴久、坂井伸太郎、秦英雄、ワールドメイト4,183,000円(集団求修)
〇寄付金(災害基金、建設基金を含む)
 高永頎22,000円、野村和久(家族入祀)10,000円、松田英一10,000円

積善箱(敬称略) (24.4~24/6/5)

大塚ひさ江1,000円、わかば会4,500円、柔岐1,000円、曜ネ古・暐得10,000円、時暉1,000円、無名氏(1件)100,000円

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         公益社団法人日本紅卍字会  定     款 (2017-6-1改訂)

第1章  総      則
(名 称)
第1条 この法人は,公益社団法人日本紅卍字会(以下,「本会」という。)と称する。
(事務所)
第2条 本会の事務所は,東京都新宿区(新宿区上落合2-13-21)に置く。
(目 的)
第3条 本会は,日本国内並びに海外において,災害或いは,生活環境の変化によって支援を必要とする人々に対して,中国古典の思想・哲学や文化の真髄を参考にして,正常な社会人としての生活実現へ寄与することを目的とする。
(事 業)
第4条 本会は,前条の目的を達成するため,次の各号に掲げる事業を行なう。 
 (1) 災害或いは,生活環境の変化によって支援を必要とする人々に対する救援,生活に関する相談,その他の援助活動事業
 (2) 中国その他アジア各国からの帰国者に対する,日本の社会への順応のための生活援助,相談等,社会福祉事業
 (3) 日本に滞在する諸外国人に対する日本語教室事業  
 (4) 道徳や慈善に関する啓蒙活動の推進および人材の育成事業   
 (5) 中国の文化遺産の展示その他中国文化紹介のための諸活動  
 (6) その他前条の目的を達成するために必要な事業
2 前項の事業は本邦および海外において行う。
第2章 会        員
(会員の資格)
第5条 本会の会員は,次の5種とし,選定会員をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下,「法人法」という。)上の社員とする。  
 (1) 選定会員 本会の目的に賛同して入会した会員のうち,別に定める入会審査規定に従って選定された者  
 (2) 維持会員 本会の目的に賛同し,選定会員の年会費と同等の会費を納入した会員で,選定会員でない者     
 (3) 準 会 員 選定会員として選定された後,2年以上会費を納入せず,選定会員 資格を失った者  
 (4) 賛助会員 他団体の推薦を受けて,当会の目的に賛同するに至り,規定の会費を納入した者
 (5) 家族会員 選定会員の家族(直系血族・兄弟姉妹および配偶者)であって,選定会員に定められた会費の2分の1に相当する額を納入した者 
(資格の取得)
第6条 選定会員として入会しようとする者については,別に定める入会審査規定に従い,理事会が入会の適否を判断するものとし,理事会の承認があった時点で,資格を取得する。   
2 理事会が,入会審査に際して,審査すべき事項は下記の通りとする。    
 (1) 災害救援活動,国際交流事業,文化紹介活動に関し,相当な知見を有すること    
 (2) 反社会的集団への帰属,会員総数の4分の1以上の者との特別利害関係の存在等,本会の公正な運営の妨げとなる事由のないこと   
3 維持会員になろうとする者は,理事会の定める入会審査規定に従って,会長に申込をするものとする。   
4 賛助会員については,他団体の推薦のもと,会長に申込をすることにより,賛助会員の身分を得るものとする。なお,推薦者となる団体については,理事会が選定 する。   
5 家族会員については,選定会員との家族関係を示す資料を添えて,会長に申込をすることにより,家族会員の身分を得るものとする。   
6 入会審査規定は,総会決議により定めるものとする。
(会員の権利義務)
第7条 会員は,本会の事業活動につき,この定款及び総会の決議に基づき権利義務を有する。
(資格の喪失)
第8条 会員は,次の各号の一に該当する場合に至ったときは,その資格を失う。  
 (1) 退会したとき  
 (2) 死亡し,若しくは失踪宣告を受け,又は法人である会員が解散したとき  
 (3) 除名されたとき   
2 選定会員が2年以上会費を滞納したときは,選定会員資格を失う。
(退 会)
第9条 本会を退会しようとする者は,理事会において別に定める退会届を会長に提出することにより,任意に退会することができる。
(除 名)
第10条 会員が,次の各号の一に該当する場合には,総会において,総選定会員の議決 権の3分の2以上の多数による決議により,その会員を除名することができる。    
 (1) 会員としての義務の履行を怠ったとき    
 (2) 本会の名誉を毀損し,又は本会の目的に反する行為があったとき
 (3) この定款その他の規則に違反したとき
2 前項の規定により会員を除名しようとする場合には,その会員に総会で弁明の機会を与えなければならない。
(会 費)
第11条 総会の決議を経て別に定めるところにより,選定会員,維持会員および賛助会員は,入会金及び会費を,家族会員は,選定会員に定められた会費の2分の1に相当する額を,それぞれ納入するものとする。    
2 既納の入会金及び会費は,原則としてこれを返還しない。
第3章    役     員
(役員の種類)
第12条 本会に次の役員を置く。         
 理事          5名以上11名以内           
 うち 会  長   1名
 副 会 長      2名以内
 専務理事        1名              
 常務理事        1名         
 監事          1名以上2名以内
(役員の選任)
第13条 理事及び監事は,総会においてこれを選任する。    
2 理事の中から,理事会決議により,会長,副会長,専務理事および常務理事を選任する。 3 前項の会長をもって,法人法第77条に定める代表理事とし,専務理事および常務理事をもって,同法第91条第1項第2号に定める業務執行理事とする。
4 各理事について,当該理事及びその配偶者又は三親等以内の親族その他特別の関係がある者である理事の合計数が,理事の総数の3分の1を超えてはならない。
5 他の同一の団体(公益法人を除く。)の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係にある者である理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えてはならない。
6 理事及び監事は,相互にこれを兼ねることができない。
(役員の職務)
第14条 会長は,法令及びこの定款で定めるところにより,本会を代表し,会務を総理 する。
2 専務理事及び常務理事は,会長を補佐し,理事会の議決に基づき,本会の業務を分担執行する。
3 会長,専務理事及び常務理事は,毎事業年度に4ヶ月を超える間隔で2回以上,自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
4 理事は,理事会を構成して,法令およびこの定款に定めるもののほか,本会の総会の権限に属せしめられていない事項の議決に参画する。
5 監事は,この法人の業務及び財産に関し,次の各号に規定する職務を行う。    
 (1) 法人の財産及び会計の状況を監査すること
 (2) 理事の業務執行の状況を監査すること
 (3) 財産の状況又は業務の執行について不正の事実を発見したときは,これを理事会に報告すること
 (4) 前号の報告をするため必要があるときは,理事会を招集すること
(役員の任期)
第15条 理事及び監事の任期は,この定款により選任後2年以内に終了する事業年度の うち,最終のものに関する通常総会の終結の時までとする。ただし,再任を妨げない。
2 補欠として選任された理事又は監事の任期は,前任者の任期の満了する時までとする。
3 理事又は監事は,第12条に定める定数に足りなくなるときは,任期の満了又は辞任により退任した後も,新たに選任された者が就任するまで,なお理事又は監事としての権利義務を有する。
(役員の解任)
第16条 役員が次の各号の一に該当するときは,総会において,総選定会員の議決権の 過半数の総会決議を経てこれを解任することができる。ただし,監事を解任する場合には,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議を経なければならない。また,総会で議決する前に,当該役員に弁明の機会を与えなければならない。
 (1) 心身の故障のため,職務の執行に堪えないと認められるとき
 (2) 職務上の義務違反その他役員たるにふさわしくない行為があると認められるとき
(役員の報酬)
第17条 理事及び監事は,無報酬とする。
(役員の損害賠償責任の免除)
第18条 本会は,法人法第114条第1項の規定により,理事又は監事が任務を怠ったことによる損害賠償責任を,理事又は監事が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない時は,法令に規定する額を限度として理事会の決議により免除することができる。
(外部役員の責任限定契約)
第19条 本会は,法人法第115条第1項の規定により,外部理事又は外部監事との間に,当該外部理事又は外部監事が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは,任務を怠ったことによる損害賠償責任を限定する契約を締結することができる。ただし,その契約に基づく賠償責任の限度額は,金10万円以上で契約時に予め定めた額と法令の定める最低責任限度額とのいずれか高い額とする。
第4章 顧    問
(顧 問)
第20条 本会に名誉会長及び顧問若干名を置くことができる。    
2 顧問は,理事会の意見を聞き,会長がこれを委託する。    
3 名誉会長及び顧問は,本会の業務運営上の重要な事項について,会長の諮問に応ずる。
第5章 理   事   会
(構 成)
第21条 本会に理事会を置く。
2 理事会は,すべての理事をもって構成する。
(権 限)
第22条 理事会は,次の職務を行う。
 (1)  この法人の業務執行の決定
 (2)  理事の職務の監督
 (3)  会長,副会長,専務理事及び常務理事の選定及び解職
 (4)  事業計画および収支予算の策定
(開 催)
第23条 理事会は,毎事業年度開始前及び事業年度終了後3ケ月以内に開催するほか,必要がある場合に随時開催する。
(招 集)
第24条 理事会は,会長が招集する。
2 理事または監事から会議の目的たる事項を示して請求があったときは,会長は10日以内に理事会を招集しなければならない。
3 理事会は少なくとも期日の3日前に会議で議決すべき事項を文書で示して,会長が招集しなければならない。
4 会長が欠けたとき又は会長に事故があるときは,各理事が理事会を招集する。
(議 長)
第25条 理事会の議長は,会長がこれにあたる。但し,会長が欠席の場合には,副会長,専務理事または常務理事のいずれかが議長の職務を代行する。また,同理事らのいずれもが欠席の場合は,出席者の互選により議長を選任する。
(決 議)
第26条 理事会の決議は,決議について特別の利害関係を有する理事を除く理事の過半 数が出席し,その過半数をもって行う。
2 前項の規定にかかわらず,法人法第96条の要件を満たしたときは,理事会の決議があったものとみなす。
(議事録)
第27条 理事会の議事については,法令で定めるところにより,議事録を作成する。
2 出席した代表理事及び監事は,前項の議事録に記名押印する。
第6章 総 会
(構 成)
第28条 総会は,第5条の選定会員をもって構成する。
2 前項の総会をもって法人法上の社員総会とする。
(総会の招集)
第29条 通常総会は,毎事業年度終了後3ヶ月以内に,理事会の決議に基づき,会長が招集し開催する。通常総会をもって、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第36条1項に定める定時社員総会とする。
2 臨時総会は,理事会が必要と認めたとき,理事会の決議に基づき,会長が招集する。
3 前項のほか,選定会員現在数の10分の1以上から会議に付議すべき事項および招集の理由を示して総会の招集を請求されたときは,会長は臨時総会を招集しなければならない。
4 総会の招集においては,少なくとも7日以前に,選定会員に対し,その会議に付議すべき事項,日時及び場所を記載した書面をもって通知する。
(総会の議長)
第30条 総会の議長は,会長がこれにあたる。会長が欠けた時または会長に事故ある時は,出席者の互選によって議長を選任する。
(議決権)
第31条 総会における議決権は,選定会員1名につき1個とする。
(総会の定足数及び決議)
第32条 総会は,選定会員現在数の過半数の者が出席しなければ,議事を開き議決する ことができない。ただし,当該議事につき書面をもってあらかじめ意思を表示した者及び他の選定会員を代理人として表決を委任した者は,出席したものとみなす。
2 総会の議事は,この定款に別段の定めがある場合を除くほか,選定会員である出席者の過半数をもって決する。
3 理事又は監事を選任する決議を行うに際しては,候補者ごとに第1項の決議を行わなければならない。理事又は監事の候補者の合計数が第12条に定める定数を上回る場合には,過半数の賛成を得た候補者の中から得票数の多い順に定数の枠に達するまでの者を選任することとする。
(総会の議決事項)
第33条 総会は,次の事項を議決する。   
 (1) 事業報告及び収支決算についての事項   
 (2) 正味財産増減計算書,財産目録及び貸借対照表についての事項   
 (3) 入会審査規程についての事項   
 (4) 会員の権利義務及び除名についての事項   
 (5) 会費についての事項   
 (6) 役員の選任及び解任についての事項   
 (7) 基本財産の処分についての事項   
 (8) 定款の変更及び施行細則についての事項   
 (9) 法人の解散についての事項
 (10) 公益認定の取消し等に伴う贈与に関する事項
 (11) 残余財産の帰属についての事項
 (12) その他総会で決議するものとして法令で定められた事項 
(会員への通知)
第34条 総会の議事の要領及び議決した事項は,電磁的記録または会報に記載することにより全会員に通知する。
(議事録)
第35条 総会の議事については,法令で定めるところにより,議事録を作成する。
2 議長及び総会において選任された議事録署名人2名以上は,前項の議事録に記名押印する。
第7章  
資 産 及 び 会 計
(基本財産)
第36条 この法人の基本財産は、基本財産とすることを、理事会で決議した財産とする。
2 前項の財産は、この法人の目的を達成するために、善良な管理者の注意をもって管理されなければならず、処分するときは、あらかじめ理事会及び総会の承認を要する。
(基本財産の処分の権限)
第37条 基本財産は,譲渡し,交換し,担保に供し,又は運用財産に繰り入れてはならない。ただし,この法人の事業遂行上やむを得ない理由があるときは,理事の現在数の3分の2以上の多数による理事会決議および総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議を経て,これらの処分をすることができる。
(事業年度)
第38条 本会の事業年度は,毎年4月1日に始まり,翌年3月31日に終わる。
(事業計画及び収支予算)
第39条 本会の事業計画及び収支予算は,毎事業年度開始前に会長が作成し,理事会の 決議を経なければならない。    
2 事業年度の途中において,事業計画及び収支予算を変更しようとするときは,前項の規定を準用する。
3 事業計画書および収支予算書については,その写しを,事務所に,当該事業年度が終了するまでの間,備え置かなければならない。
(事業報告及び決算)
第40条 本会の事業報告及び収支決算については,毎事業年度終了後,会長が次の書類 を作成し,監事の監査を受けた上で,理事会の承認を受けなければならない。
 (1)  事業報告及び収支決算書
 (2)  事業報告の附属明細書
 (3)  貸借対照表
 (4)  正味財産増減計算書
 (5)  貸借対照表及び正味財産増減計算書の附属明細書
 (6)  財産目録
2 前項の承認を受けた書類のうち,第1号,第3号,第4号及び第6号の書類については,通常総会に提出し,第1号の書類については,その内容を報告し,その他の書類については承認を受けなければならない。
(行政庁への提出書類)
第41条 次に掲げる書類は,毎事業年度開始の日の前日までに行政庁へ提出しなけれ ばならない。
 (1)  事業計画書
 (2)  収支予算書
 (3)  資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類
2 次に掲げる書類は,毎事業年度の経過後3ヶ月以内に,第29条に基づく通常総会終了後,速やかに行政庁へ提出しなければならない。
 (1)  貸借対照表,損益計算書および正味財産増減計算書
 (2)  財産目録等
 (3)  滞納処分に係る国税及び地方税の納税証明書
 (4)  運営組織及び事業活動の状況の概要及びこれらに関する数値のうち重要なものを記載した書類 第8章 定款の変更及び解散
(定款の変更)
第42条 この定款の変更は,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議をもって行わなければならない。ただし,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第11条第1 項各号記載の点について変更を行う場合には,総会決議の前に,行政庁の認定を受けなければならない。
(解 散)
第43条 この法人の解散は,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議をもって行わなければならない。
2 前項により解散をしたときは,当該解散の日から1ヶ月以内に,その旨を行政庁に届け出なければならない。
(公益認定の取消し等に伴う贈与)
第44条 この法人が公益認定の取消処分を受けた場合又は合併により消滅する場合(そ の権利義務を承継する法人が公益法人であるときを除く。)には,総会の決議を得て,公益目的取得財産残額に相当する額の財産を,当該公益認定の取消しの日又は当該合併の日から1ヶ月以内に,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第17号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。
(残余財産の帰属)
第45条 この法人が清算をする場合において有する残余財産は,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議を得て,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第17号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。
第9章 雑       則
(書類及び帳簿の備付等)
第46条 本会の事務所に,次の書類及び帳簿を備えなければならない。ただし,他の法 令により,これらに代わる書類及び帳簿を備えたときは,この限りではない。
 (1)   定款
 (2)   社員(選定会員)名簿
 (3)   理事および監事の名簿
 (4)  認定,許認可および登記に関する書類
 (5)  理事会および総会の議事に関する書類
 (6)  財産目録
 (7)  事業計画書および収支予算書
 (8)  事業報告および計算書類
 (9)  監査報告
 (10)  役員等の報酬規程
 (11)  貸借対照表及びその附属明細書
 (12)  その他法令で定める帳簿および書類
2 前項各号の帳簿及び書類の閲覧については,法令の定めによるほか,別に理事会決議により定める情報公開規程によるものとする。
(公告の方法)
第47条 本会の公告は,主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法により行う。
(細 則)
第48条 この定款の施行についての細則は,理事会及び総会の議決を得て,別に定める。 附 則  
1 この定款は,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第106条第1項に定める公益法人の設立の登記の日から施行する。  
2 この法人の最初の代表理事(会長)は黒川謙介とする。  
3 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第106条第1項に定める特例民法法人の解散の登記と公益法人の設立の登記を行ったときは,第38条の規定にかかわらず,解散の登記の日の前日を事業年度の末日とし,設立の登記の日を事業年度の開始日とする。

       

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                                 公益社団法人日本紅卍字会役員名簿
                                               令和5年5月20日現在

役職名 氏  名 年  令 就任年月日
代表理事会長 黒川謙介 71 平成10年5月
専務理事 田畑治樹 73 平成16年5月
理  事 天野三千博 63 平成27年5月
理 事 一色源太郎 56 平成29年6月
理 事 新井和治 74 令和元年6月
 理 事 野原次男 75 令和5年5月
監 事 野村和久 64 令和3年12月