公益社団法人 日本紅卍字会会報(59号) 2025年 3月    

【会報59号 目次】
1. 名句あっぷ             ……一色源太郎
2. 烈士烈女伝            ……一色源太郎
3. 事務局からのお知らせ
4. 展望台―7―            ……黒川謙介
5. 功行費(2024年12月〜2025年2月)
6. 積善箱(2024年12月〜2025年3月)
 

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名句あっぷ(古今の名句、名言を紹介します)

「非理法権天」                     伝 楠木正成公遺文
非理法権天(ひりほうけんてん)は、
「非は理に勝つ能わず、
 理は法に勝つ能わず、
 法は権に勝つ能わず、
 権は天に勝つ能わず」

という句の頭をとったものとされ、これは本会でもその遺徳を仰いでいる楠木正成公の残された言葉と伝承されています。楠公の系統だった遺文などは現存しない為、太平記等軍記物語や書簡で伝えられる姿、 言葉から当時を探らねばなりません。
楠公が戦場においてこの非理法権天の菊水旗を使用されていたと伝えられますが、現代の考証学では後世の伝承と結びついたものであるとの認識が大勢のようです。
しかしこの言葉は最終的な権威を天というものに置き、天意の為に理も法も尽くすべきことを唱えた高い精神を述べたものとして日本の軍人が理想の一つとしてきました。 戦艦大和の中にもこの非理法権天の五字旗が掲げられていたと言われます。
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烈士烈女伝(前漢の劉向による『列女伝』に倣い、社会福祉に献身した
人たちを紹介します)


賀川豊彦(キリスト教社会運動家:1888年~1960年)

賀川豊彦は、社会福祉活動家として多大な功績を残し後世の高名を残しています。活動の全体像は小さな誌面に描けるものでは無いので、 ここでは主に関東大震災の被災者に対する救済活動を焦点に、同氏の足跡を追ってみたいと思います。
賀川豊彦は関東大震災発生直後から救済活動に尽力しました。活動は多岐にわたり、被災者の救助、救援物資の配布、 そして復興支援まで、幅広い分野に及びました。

主な活動内容:

・迅速な救援活動:
o 震災発生の翌日には、神戸から救援隊を組織し、被災地へ向かいました。
o 東京に到着後、焼け野原となった市街地を奔走し、被災者の救助や医療活動に従事しました。

• セツルメント活動:
o 被災者のために、住居や食料を提供するセツルメント活動を展開しました。
o 特に、被害の大きかった本所地区に拠点を設け、長期的な支援を行いました。
• 社会復帰支援:
o 被災者の自立を支援するため、職業訓練や生活相談などの活動を行いました。
o また、失業者のための就職支援や、子供たちのための教育支援にも力を注ぎました。

• 精神的な支援:
o 被災者の心のケアにも取り組み、講演会や慰問活動を通じて、人々に希望と勇気を与えました。
o キリスト教の精神に基づいた救援活動は、多くの被災者の心の支えとなりました。

賀川豊彦の活動の特徴:
• 包括的な支援:
o 賀川の活動は、単なる物資の供給にとどまらず、医療、住居、就労、教育、精神的なケアなど、多岐にわたる支援を提供しました。
• 長期的な視点:
o 震災直後の緊急支援だけでなく、被災者の自立と地域の復興を見据えた長期的な支援活動を展開しました。
• 民間の力:
o 政府や行政の支援が十分に行き届かない中で、民間の力による支援活動を積極的に行いました。
• 隣人愛の精神:
o 彼の活動は、キリスト教の隣人愛の精神に基づいたものであり、分け隔てなく全ての人々を支援しました。

賀川豊彦の関東大震災における活動は、日本のボランティア活動の先駆けとして、後世に大きな影響を与えました。 紅卍字会も関東大震災への救援が契機となり日本での活動が進められるようになりました。賀川豊彦氏も紅卍字会の事を耳にしていたかもしれないですね。

山室機恵子(社会事業家:1874年~1916年)

山室機恵子は、夫である山室軍平とともに、日本の救世軍の活動に深く関わった人物です。彼女の主な活動は以下の通りです。
• 廃娼運動と婦人救済:
o 解放された娼妓のための更生施設「東京婦人ホーム」の主任として、彼女たちの社会復帰を支援しました。
o 夫とともに、娼妓を保護する婦人救済活動の中心的な役割を果たしました。
• 児童保護:
o 1905年の東北地方の冷害後、多数の子供たちを引き取り、児童保護の救済活動に尽力しました。
• 結核療養所設立: o 結核療養所の設立に奔走し、その実現に貢献しました。

これらの活動を通じて、山室機恵子は「日本救世軍の母」とも呼ばれ、日本の社会福祉に大きな足跡を残しました。現在、当会のある新宿区でも歌舞伎町で未成年者の窮乏状況が度々問題になっています。山室機恵子の活動を振り返り、保護を必要とする人たちに適切な援助の手が向けられるよう願うばかりです。

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事務局からのお知らせ
<日本語教室の近況>  
 現在、教室には、年間を通して常時45名前後が通学しています。受講生は、ほとんどが「東京日本語教室サイト」を通じての応募、並びに、受講生の口コミによるものです。
 1クラスの受講者数には、聴力と発話力養成のため、定員(8〜10名)を設けています。受講の問い合わせは、連日1、2件ほど来るのですが、全員の受け入れは到底困難なため、他の教室を探してもらうか、次期開講まで待ってもらったりしています。その結果、7月開講予定の4クラスはすでに満席という状況です。  
 受講生の学習目的は、日本への帰化、永住ビザ取得、就職、大学院入学、お子さんの幼稚園や学校の教師とのコミュニケーション、医師とのコミュニケーションなど、さまざまですが、初級クラスを修了した方たちから、「保護者会に参加できるようになった」、「病院へ一人で行けるようになった」という声を聞くことが、日本語を教える者にとって何よりのモチベーションです。(日本語教室 水野史子教師)

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展望台-7
「日本人の人口について」
日本人の人口は、特殊出生率(女性一人が一生のうちに生む子供数の推計値)が2023年に1.2と過去最低となり、且つ8年連続で前年を下回っています。これはシンガポール、韓国、台湾などと共に、世界最低レベルです。既に日本では2008年に人口のピークが過ぎており、仮説の立て方にもよりますが、現在の1億2400万人から2050年には1億人を下回り、2100年には、なんと6000
人を下回るという推計があります。
昨今は年間約60万人ずつ減少しており、2040年代には年間100万人、それ以降は更に加速度的に減少が進んでいくと見られています。また減少が地方から始まり、次いで都市部へと進んでいくのも一つの特徴です。因みに世界の人口は2080年代に103億人のピークを迎えた後、 今世紀末からそれ以降に漸次減少すると見られており、いずれは世界全体の人口も減少局面に入ります。   人口減少によってひき起こされる諸問題は多岐にわたりますが、主として経済規模の縮小(担い手である労働人口の減少)とそれによる国際競争力の低下、納税者数減少による社会保障制度と財政持続への懸念、財政硬直化による公共施設・インフラの老朽化対応遅滞など、行政サービス全般の低下などが予測されています。また人手不足により事業が成り立たない倒産件数も非常に増えており、今後の動向にも影を落としています。更に、地方の市区町村から大都市部への流出による自治体運営の困難化も深刻度を増していきます。  人口減少への対策に目を移すと、今から人口そのものを増加させる施策を打っても、既に減少の坂道を転がり落ちていますので、回復するには長い時間を要するという認識が共有されています。そこで取り敢えず、経済主体数の減少に対しては海外からの労働人口を増やす対策が一つの選択肢です。今後、海外労働者への依存度は増大し、且つ労働内容も質的に多様化することは必須です。問題は我々が彼らを不安定な地位ではなく、如何に正規な労働力、社会の構成員として確立し得るかです。労働力の減少を補完する技術革新・開発も必須要素ですが、これも海外要員の貢献により進展することが大いに期待できます。当会では「無料日本語教室」を1979年から始めており、既に2000人以上の卒業生が巣立っていきました。このような活動が、一層進展をすることが今後望まれています。 一方、人口そのものを増加させる本来の施策については、国や各地の自治体レベルでも出生率を向上させる取り組みが始まっています。先進国の中でもフランスやスウェーデンのように、一旦出生率が低下しながら回復している国々があり、的確な政策を展開し官民挙げて取り組めば、人口減少に歯止めをかけることが可能と考えられています。OECDレポートでも、日本は育児費用の直接的軽減や育児休業の取得促進、保育サービス拡充等の対策が講じられれば、出生率が2.0まで回復する可能性がある、と推計されています。危機的な見通しが鮮明になりつつある現在、国や各自治体、並びに民間もそれぞれの本気度を上げて対策を実施することが望まれます。 しかし、単に行政施策の個別的方法論だけではなく、社会的環境整備など、スケールの大きなグランドデザインが長期的には不可欠と考えられます。例えば、将来を担う若者に影響が大きい「学校」の現状を見てみてみましょう。2023年度の小・中学生の不登校は、初めて30万人を突破し35万人に迫っています。(文部科学省調査)そのうち小学生の不登校は10年前の5.4倍、中学生は2.2倍に達しました。原因はコロナ禍の影響以外にも、教員不足によるとの説がありますが、教師の数が揃えば不登校問題は解決するとは思えません。最近は雑務が多く残業時間が極めて長い教職を志望する学生が激減しており、教師の質も低下している、と言われています。今や嫌われる職場であり、嫌われる学びの場「学校」の在り方そのものにこそ、目を向ける必要があります。実際、毎日の登校を前提としない教育現場として、通信制高校の生徒は2024年度には過去最多の29万人に達しています。顧みますと、半世紀以上前から学校教育では便利な選別手段としての「偏差値」が導入され、知識量と数値化された結果だけが求められ続けてきました。そのため、自らが学ぶ内容を探る主体性や課題設定能力は低下してきたとの観察があります。学びの場に前述の破綻が生じたのは、このような社会の在り方にも一因があったと言えるでしょう。あるいは前号で紹介した、G7内でも突出した若者の自殺率の高さなどを考えると、これらの課題にも取り組むことが、長期的な人口減少に歯止めを掛ける一つの有効な方途ではないでしょうか。 斯かる状況からの脱却には、「心」の在り方を問い直す「学び」が有効かつ不可欠です。「心の教育」というと、ファシズムや教条主義という姑息に政治利用された負のイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、一例として中国古代の聖人・賢哲が残した『四書/五経』の教えなどは、過去数千年にわたり人類を導いてきた大いなる「羅針盤」といえます。当会はこれらの思想による啓蒙活動も実施してきましたが、今後も鋭意継続して参ります。中国哲学に限らず、物性を超越した精神世界に関わる思想への関心は、近年益々顕在化しています。「物質」のみに根拠を求める自然科学偏重の趨勢には、その底流でパラダイムシフトが始まっているのかもしれません。もしそうであれば、それは非常に望ましい流れと言えるでしょう。 日本初のノーベル賞受賞者である湯川秀樹博士は、幼少期から儒教や老荘思想に触れて育ち、自然界の根源に法則としての「道」があるとして「老子・荘子」を深く敬愛されたそうで、取り分け『荘子(そうじ)』はいつも携帯されていたとの事です。それを象徴する話ですが、ノーベル賞を受賞した「中間子理論」は『荘子』の「渾沌(こんとん)寓話」(五感を持たぬ「渾沌」という名の帝(みかど)が、五感を与えられた結果死んでしまった)の夢を見たことが、その発想の根源だった、と博士は述べられています。こういう逸話を残せるのが、筆者のような凡人とはホンの少しだけ違うところです。

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 功行費

令和6年(2024年)
12月分功行費(敬称略)
○年会費(12,000円、家族6,000円) 
  岡田高明、並川努4,000円(月割)、4,166,000円(集団求修11月の分)、ワールドメイト4,153,000円     
〇寄付金(災害基金、建設基金を含む)  
 菅沼武史2,000円、並川努2,000円、松田英一10,000円

令和7年(2025年)
1月分功行費(敬称略)
○年会費(12,000円、家族6,000円)  野村和久、ワールドメイト4,191,000円( 集団求修)
〇寄付金(災害基金、建設基金を含む)  松田英一10,000円、      

2月分功行費(敬称略) 
○年会費(12,000円、家族6,000円)  吉田久美子と家族18,000円、吉田裕佳子と家族18,000円、吉田和史、押手信子、宋美英、由臧
〇寄付金(災害基金、建設基金を含む)  吉田久美子10,000円、高橋克弥10,000円王、松田英一10,000円

積善箱(敬称略) (24/12/4~25/3/7) 由臧10,000円、安徳10,000円、時暉1,000円、自臧1,000円、基密2,000円、承望10,000円、無名氏(3件)4,000円 

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         公益社団法人日本紅卍字会  定     款 (2017-6-1改訂)

第1章  総      則
(名 称)
第1条 この法人は,公益社団法人日本紅卍字会(以下,「本会」という。)と称する。
(事務所)
第2条 本会の事務所は,東京都新宿区(新宿区上落合2-13-21)に置く。
(目 的)
第3条 本会は,日本国内並びに海外において,災害或いは,生活環境の変化によって支援を必要とする人々に対して,中国古典の思想・哲学や文化の真髄を参考にして,正常な社会人としての生活実現へ寄与することを目的とする。
(事 業)
第4条 本会は,前条の目的を達成するため,次の各号に掲げる事業を行なう。 
 (1) 災害或いは,生活環境の変化によって支援を必要とする人々に対する救援,生活に関する相談,その他の援助活動事業
 (2) 中国その他アジア各国からの帰国者に対する,日本の社会への順応のための生活援助,相談等,社会福祉事業
 (3) 日本に滞在する諸外国人に対する日本語教室事業  
 (4) 道徳や慈善に関する啓蒙活動の推進および人材の育成事業   
 (5) 中国の文化遺産の展示その他中国文化紹介のための諸活動  
 (6) その他前条の目的を達成するために必要な事業
2 前項の事業は本邦および海外において行う。
第2章 会        員
(会員の資格)
第5条 本会の会員は,次の5種とし,選定会員をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下,「法人法」という。)上の社員とする。  
 (1) 選定会員 本会の目的に賛同して入会した会員のうち,別に定める入会審査規定に従って選定された者  
 (2) 維持会員 本会の目的に賛同し,選定会員の年会費と同等の会費を納入した会員で,選定会員でない者     
 (3) 準 会 員 選定会員として選定された後,2年以上会費を納入せず,選定会員 資格を失った者  
 (4) 賛助会員 他団体の推薦を受けて,当会の目的に賛同するに至り,規定の会費を納入した者
 (5) 家族会員 選定会員の家族(直系血族・兄弟姉妹および配偶者)であって,選定会員に定められた会費の2分の1に相当する額を納入した者 
(資格の取得)
第6条 選定会員として入会しようとする者については,別に定める入会審査規定に従い,理事会が入会の適否を判断するものとし,理事会の承認があった時点で,資格を取得する。   
2 理事会が,入会審査に際して,審査すべき事項は下記の通りとする。    
 (1) 災害救援活動,国際交流事業,文化紹介活動に関し,相当な知見を有すること    
 (2) 反社会的集団への帰属,会員総数の4分の1以上の者との特別利害関係の存在等,本会の公正な運営の妨げとなる事由のないこと   
3 維持会員になろうとする者は,理事会の定める入会審査規定に従って,会長に申込をするものとする。   
4 賛助会員については,他団体の推薦のもと,会長に申込をすることにより,賛助会員の身分を得るものとする。なお,推薦者となる団体については,理事会が選定 する。   
5 家族会員については,選定会員との家族関係を示す資料を添えて,会長に申込をすることにより,家族会員の身分を得るものとする。   
6 入会審査規定は,総会決議により定めるものとする。
(会員の権利義務)
第7条 会員は,本会の事業活動につき,この定款及び総会の決議に基づき権利義務を有する。
(資格の喪失)
第8条 会員は,次の各号の一に該当する場合に至ったときは,その資格を失う。  
 (1) 退会したとき  
 (2) 死亡し,若しくは失踪宣告を受け,又は法人である会員が解散したとき  
 (3) 除名されたとき   
2 選定会員が2年以上会費を滞納したときは,選定会員資格を失う。
(退 会)
第9条 本会を退会しようとする者は,理事会において別に定める退会届を会長に提出することにより,任意に退会することができる。
(除 名)
第10条 会員が,次の各号の一に該当する場合には,総会において,総選定会員の議決 権の3分の2以上の多数による決議により,その会員を除名することができる。    
 (1) 会員としての義務の履行を怠ったとき    
 (2) 本会の名誉を毀損し,又は本会の目的に反する行為があったとき
 (3) この定款その他の規則に違反したとき
2 前項の規定により会員を除名しようとする場合には,その会員に総会で弁明の機会を与えなければならない。
(会 費)
第11条 総会の決議を経て別に定めるところにより,選定会員,維持会員および賛助会員は,入会金及び会費を,家族会員は,選定会員に定められた会費の2分の1に相当する額を,それぞれ納入するものとする。    
2 既納の入会金及び会費は,原則としてこれを返還しない。
第3章    役     員
(役員の種類)
第12条 本会に次の役員を置く。         
 理事          5名以上11名以内           
 うち 会  長   1名
 副 会 長      2名以内
 専務理事        1名              
 常務理事        1名         
 監事          1名以上2名以内
(役員の選任)
第13条 理事及び監事は,総会においてこれを選任する。    
2 理事の中から,理事会決議により,会長,副会長,専務理事および常務理事を選任する。 3 前項の会長をもって,法人法第77条に定める代表理事とし,専務理事および常務理事をもって,同法第91条第1項第2号に定める業務執行理事とする。
4 各理事について,当該理事及びその配偶者又は三親等以内の親族その他特別の関係がある者である理事の合計数が,理事の総数の3分の1を超えてはならない。
5 他の同一の団体(公益法人を除く。)の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係にある者である理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えてはならない。
6 理事及び監事は,相互にこれを兼ねることができない。
(役員の職務)
第14条 会長は,法令及びこの定款で定めるところにより,本会を代表し,会務を総理 する。
2 専務理事及び常務理事は,会長を補佐し,理事会の議決に基づき,本会の業務を分担執行する。
3 会長,専務理事及び常務理事は,毎事業年度に4ヶ月を超える間隔で2回以上,自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
4 理事は,理事会を構成して,法令およびこの定款に定めるもののほか,本会の総会の権限に属せしめられていない事項の議決に参画する。
5 監事は,この法人の業務及び財産に関し,次の各号に規定する職務を行う。    
 (1) 法人の財産及び会計の状況を監査すること
 (2) 理事の業務執行の状況を監査すること
 (3) 財産の状況又は業務の執行について不正の事実を発見したときは,これを理事会に報告すること
 (4) 前号の報告をするため必要があるときは,理事会を招集すること
(役員の任期)
第15条 理事及び監事の任期は,この定款により選任後2年以内に終了する事業年度の うち,最終のものに関する通常総会の終結の時までとする。ただし,再任を妨げない。
2 補欠として選任された理事又は監事の任期は,前任者の任期の満了する時までとする。
3 理事又は監事は,第12条に定める定数に足りなくなるときは,任期の満了又は辞任により退任した後も,新たに選任された者が就任するまで,なお理事又は監事としての権利義務を有する。
(役員の解任)
第16条 役員が次の各号の一に該当するときは,総会において,総選定会員の議決権の 過半数の総会決議を経てこれを解任することができる。ただし,監事を解任する場合には,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議を経なければならない。また,総会で議決する前に,当該役員に弁明の機会を与えなければならない。
 (1) 心身の故障のため,職務の執行に堪えないと認められるとき
 (2) 職務上の義務違反その他役員たるにふさわしくない行為があると認められるとき
(役員の報酬)
第17条 理事及び監事は,無報酬とする。
(役員の損害賠償責任の免除)
第18条 本会は,法人法第114条第1項の規定により,理事又は監事が任務を怠ったことによる損害賠償責任を,理事又は監事が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない時は,法令に規定する額を限度として理事会の決議により免除することができる。
(外部役員の責任限定契約)
第19条 本会は,法人法第115条第1項の規定により,外部理事又は外部監事との間に,当該外部理事又は外部監事が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは,任務を怠ったことによる損害賠償責任を限定する契約を締結することができる。ただし,その契約に基づく賠償責任の限度額は,金10万円以上で契約時に予め定めた額と法令の定める最低責任限度額とのいずれか高い額とする。
第4章 顧    問
(顧 問)
第20条 本会に名誉会長及び顧問若干名を置くことができる。    
2 顧問は,理事会の意見を聞き,会長がこれを委託する。    
3 名誉会長及び顧問は,本会の業務運営上の重要な事項について,会長の諮問に応ずる。
第5章 理   事   会
(構 成)
第21条 本会に理事会を置く。
2 理事会は,すべての理事をもって構成する。
(権 限)
第22条 理事会は,次の職務を行う。
 (1)  この法人の業務執行の決定
 (2)  理事の職務の監督
 (3)  会長,副会長,専務理事及び常務理事の選定及び解職
 (4)  事業計画および収支予算の策定
(開 催)
第23条 理事会は,毎事業年度開始前及び事業年度終了後3ケ月以内に開催するほか,必要がある場合に随時開催する。
(招 集)
第24条 理事会は,会長が招集する。
2 理事または監事から会議の目的たる事項を示して請求があったときは,会長は10日以内に理事会を招集しなければならない。
3 理事会は少なくとも期日の3日前に会議で議決すべき事項を文書で示して,会長が招集しなければならない。
4 会長が欠けたとき又は会長に事故があるときは,各理事が理事会を招集する。
(議 長)
第25条 理事会の議長は,会長がこれにあたる。但し,会長が欠席の場合には,副会長,専務理事または常務理事のいずれかが議長の職務を代行する。また,同理事らのいずれもが欠席の場合は,出席者の互選により議長を選任する。
(決 議)
第26条 理事会の決議は,決議について特別の利害関係を有する理事を除く理事の過半 数が出席し,その過半数をもって行う。
2 前項の規定にかかわらず,法人法第96条の要件を満たしたときは,理事会の決議があったものとみなす。
(議事録)
第27条 理事会の議事については,法令で定めるところにより,議事録を作成する。
2 出席した代表理事及び監事は,前項の議事録に記名押印する。
第6章 総 会
(構 成)
第28条 総会は,第5条の選定会員をもって構成する。
2 前項の総会をもって法人法上の社員総会とする。
(総会の招集)
第29条 通常総会は,毎事業年度終了後3ヶ月以内に,理事会の決議に基づき,会長が招集し開催する。通常総会をもって、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第36条1項に定める定時社員総会とする。
2 臨時総会は,理事会が必要と認めたとき,理事会の決議に基づき,会長が招集する。
3 前項のほか,選定会員現在数の10分の1以上から会議に付議すべき事項および招集の理由を示して総会の招集を請求されたときは,会長は臨時総会を招集しなければならない。
4 総会の招集においては,少なくとも7日以前に,選定会員に対し,その会議に付議すべき事項,日時及び場所を記載した書面をもって通知する。
(総会の議長)
第30条 総会の議長は,会長がこれにあたる。会長が欠けた時または会長に事故ある時は,出席者の互選によって議長を選任する。
(議決権)
第31条 総会における議決権は,選定会員1名につき1個とする。
(総会の定足数及び決議)
第32条 総会は,選定会員現在数の過半数の者が出席しなければ,議事を開き議決する ことができない。ただし,当該議事につき書面をもってあらかじめ意思を表示した者及び他の選定会員を代理人として表決を委任した者は,出席したものとみなす。
2 総会の議事は,この定款に別段の定めがある場合を除くほか,選定会員である出席者の過半数をもって決する。
3 理事又は監事を選任する決議を行うに際しては,候補者ごとに第1項の決議を行わなければならない。理事又は監事の候補者の合計数が第12条に定める定数を上回る場合には,過半数の賛成を得た候補者の中から得票数の多い順に定数の枠に達するまでの者を選任することとする。
(総会の議決事項)
第33条 総会は,次の事項を議決する。   
 (1) 事業報告及び収支決算についての事項   
 (2) 正味財産増減計算書,財産目録及び貸借対照表についての事項   
 (3) 入会審査規程についての事項   
 (4) 会員の権利義務及び除名についての事項   
 (5) 会費についての事項   
 (6) 役員の選任及び解任についての事項   
 (7) 基本財産の処分についての事項   
 (8) 定款の変更及び施行細則についての事項   
 (9) 法人の解散についての事項
 (10) 公益認定の取消し等に伴う贈与に関する事項
 (11) 残余財産の帰属についての事項
 (12) その他総会で決議するものとして法令で定められた事項 
(会員への通知)
第34条 総会の議事の要領及び議決した事項は,電磁的記録または会報に記載することにより全会員に通知する。
(議事録)
第35条 総会の議事については,法令で定めるところにより,議事録を作成する。
2 議長及び総会において選任された議事録署名人2名以上は,前項の議事録に記名押印する。
第7章  
資 産 及 び 会 計
(基本財産)
第36条 この法人の基本財産は、基本財産とすることを、理事会で決議した財産とする。
2 前項の財産は、この法人の目的を達成するために、善良な管理者の注意をもって管理されなければならず、処分するときは、あらかじめ理事会及び総会の承認を要する。
(基本財産の処分の権限)
第37条 基本財産は,譲渡し,交換し,担保に供し,又は運用財産に繰り入れてはならない。ただし,この法人の事業遂行上やむを得ない理由があるときは,理事の現在数の3分の2以上の多数による理事会決議および総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議を経て,これらの処分をすることができる。
(事業年度)
第38条 本会の事業年度は,毎年4月1日に始まり,翌年3月31日に終わる。
(事業計画及び収支予算)
第39条 本会の事業計画及び収支予算は,毎事業年度開始前に会長が作成し,理事会の 決議を経なければならない。    
2 事業年度の途中において,事業計画及び収支予算を変更しようとするときは,前項の規定を準用する。
3 事業計画書および収支予算書については,その写しを,事務所に,当該事業年度が終了するまでの間,備え置かなければならない。
(事業報告及び決算)
第40条 本会の事業報告及び収支決算については,毎事業年度終了後,会長が次の書類 を作成し,監事の監査を受けた上で,理事会の承認を受けなければならない。
 (1)  事業報告及び収支決算書
 (2)  事業報告の附属明細書
 (3)  貸借対照表
 (4)  正味財産増減計算書
 (5)  貸借対照表及び正味財産増減計算書の附属明細書
 (6)  財産目録
2 前項の承認を受けた書類のうち,第1号,第3号,第4号及び第6号の書類については,通常総会に提出し,第1号の書類については,その内容を報告し,その他の書類については承認を受けなければならない。
(行政庁への提出書類)
第41条 次に掲げる書類は,毎事業年度開始の日の前日までに行政庁へ提出しなけれ ばならない。
 (1)  事業計画書
 (2)  収支予算書
 (3)  資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類
2 次に掲げる書類は,毎事業年度の経過後3ヶ月以内に,第29条に基づく通常総会終了後,速やかに行政庁へ提出しなければならない。
 (1)  貸借対照表,損益計算書および正味財産増減計算書
 (2)  財産目録等
 (3)  滞納処分に係る国税及び地方税の納税証明書
 (4)  運営組織及び事業活動の状況の概要及びこれらに関する数値のうち重要なものを記載した書類 第8章 定款の変更及び解散
(定款の変更)
第42条 この定款の変更は,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議をもって行わなければならない。ただし,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第11条第1 項各号記載の点について変更を行う場合には,総会決議の前に,行政庁の認定を受けなければならない。
(解 散)
第43条 この法人の解散は,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議をもって行わなければならない。
2 前項により解散をしたときは,当該解散の日から1ヶ月以内に,その旨を行政庁に届け出なければならない。
(公益認定の取消し等に伴う贈与)
第44条 この法人が公益認定の取消処分を受けた場合又は合併により消滅する場合(そ の権利義務を承継する法人が公益法人であるときを除く。)には,総会の決議を得て,公益目的取得財産残額に相当する額の財産を,当該公益認定の取消しの日又は当該合併の日から1ヶ月以内に,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第17号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。
(残余財産の帰属)
第45条 この法人が清算をする場合において有する残余財産は,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議を得て,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第17号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。
第9章 雑       則
(書類及び帳簿の備付等)
第46条 本会の事務所に,次の書類及び帳簿を備えなければならない。ただし,他の法 令により,これらに代わる書類及び帳簿を備えたときは,この限りではない。
 (1)   定款
 (2)   社員(選定会員)名簿
 (3)   理事および監事の名簿
 (4)  認定,許認可および登記に関する書類
 (5)  理事会および総会の議事に関する書類
 (6)  財産目録
 (7)  事業計画書および収支予算書
 (8)  事業報告および計算書類
 (9)  監査報告
 (10)  役員等の報酬規程
 (11)  貸借対照表及びその附属明細書
 (12)  その他法令で定める帳簿および書類
2 前項各号の帳簿及び書類の閲覧については,法令の定めによるほか,別に理事会決議により定める情報公開規程によるものとする。
(公告の方法)
第47条 本会の公告は,主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法により行う。
(細 則)
第48条 この定款の施行についての細則は,理事会及び総会の議決を得て,別に定める。 附 則  
1 この定款は,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第106条第1項に定める公益法人の設立の登記の日から施行する。  
2 この法人の最初の代表理事(会長)は黒川謙介とする。  
3 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第106条第1項に定める特例民法法人の解散の登記と公益法人の設立の登記を行ったときは,第38条の規定にかかわらず,解散の登記の日の前日を事業年度の末日とし,設立の登記の日を事業年度の開始日とする。

       

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                                 公益社団法人日本紅卍字会役員名簿
                                               令和6年5月20日現在

役職名 氏  名 年  令 就任年月日
代表理事会長 黒川謙介 71 平成10年5月
専務理事 田畑治樹 73 平成16年5月
理  事 天野三千博 63 平成27年5月
理 事 一色源太郎 56 平成29年6月
理 事 新井和治 74 令和元年6月
 理 事 野原次男 75 令和5年5月
監 事 野村和久 64 令和3年12月